大島智衣の「oh! しまった!!」

しまったあれこれ随想録

〈61〉やさしいアイスのままでいい

毎週月曜日の朝には生協が届く。野菜や、牛乳・卵・お豆腐・ヨーグルト、パンやお肉や冷凍食品も。 昨日の月曜日。いつもの生協が届いたあと、「あれ、おいしそうね。アイス。野菜の」みたいなことを母が言ったときは、野菜のアイスだ? と訝しがりつつ軽く…

〈60〉なまはげの見せる夢

「昨日の晩、すごくコワい夢を見てさ」と母に話しかけると、「私も。なまはげに追いかけられる夢を見た」と遥かコワさレベルの上をいかれた。 さすがだなぁ、と思った。さすが、なまはげの故郷である秋田は男鹿出身の人間だ。見る夢が違う。 と同時に、不憫…

〈29〉この父にして 〜道産子の野望編〜

オカシな人ほど、憎いような愛しいようなで、ムカつく。 ある休日の昼下がり。台所で父が、手に余るほどのでっかい球体を「おっとっと……っとっとっと」とニヤニヤしながら、りんごのように皮を剥いてるのは、よく見たらメロンだった。 「何してんの???」 …

〈27〉「フォ〜!!」と叫んだ日

興奮冷めやらない。思わず「フォ〜!!」と叫んでしまった。 ゴールデンウィーク真っ只中の今、私は両親の旅の付き添いで福島県はスパリゾートハワイアンズに来ている。 2泊3日の旅程で、一日目は南会津の大内宿へ。そして二日目の今日、ハワイアンズへとや…

〈17〉鉄の女じゃない、姉だもの。

先日、部屋でくつろいでいたら、あっという間に動悸がひどく襲ってきた。それがあまりにも強くけたたましく早鐘を打つものだから、あらら、このまま死んでしまったりするのかしら? と己の最期を想像し、実家暮らし独身女子の脳裏に浮かんできたのは、 「こ…

〈10〉大晦日を裏切る者は、大晦日に泣く

一年365日のうちで大晦日が一番好きだ。つい数日前にまた過ぎ去ってしまったのが惜しまれる。 台所でおせち料理を仕込む母を横目に、ぬくぬくのリビングでソファに寝転がり紅白を流し観しながら、時たま筑前煮を盗み食いしに行ったりする。父が隣の自室で同…