大島智衣の「oh! しまった!!」

しまったあれこれ随想録

〈50〉唐揚げとデートの適量

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唐揚げの適量って幾つだろうか?

一食につき、それがメインのおかずであるならば4〜5個? ふた口くらいで食べられる中ぐらいの大きさのを4〜5個だろうか。「唐揚げ 定食」などで画像検索しても、だいたいそれくらいの量がこんもりと盛り付けられている。それくらいなんだと思う。中ぐらいのを4〜5個。それが唐揚げの一般的な適量。

けれど、昔から我が家で母親が出してくれた唐揚げは、ひと口くらいで食べられる“中の小”ぐらいの大きさの唐揚げがせいぜい3〜4個で、私はいつも物足りなかった。

共働き家庭の、女・男・男の3人姉弟だったからかもしれない。 もしくは幼い頃からぽっちゃり体型だった我が子を思ってだったのかも。

一日働いて疲れて帰ってきたまま夕飯を作ってくれていた母の苦労を思えば、何を言っている。 いやホント、もっと食べられなかったひとだっているのに何言ってんだ。

だけど……全っ然、足りなかった。 決して“こんもり”ではなく、頼りなく盛られたおかず皿が姉弟3人の前に出され、いつでも「ひとり3個までね!」と言われるのが大っ嫌いだった。

もっと食べたかった。 お腹いっぱい唐揚げが食べたかった。ハンバーグもいつもおいなりさんくらい小さかった。小さすぎるよおっかさん。

そんな子どもの頃からの個数制限付きの満たされぬ食卓の経験が、私の今なおつづく“枯渇”の原体験だったんじゃないかなと思う。今でもうまくじぶんを満たせない。

なんにでも適量があると思う。 デート気分で晩ごはんを食べに行った男子に、食後20時頃にバイバイされたときは帰りしな泣いた。

まだ夜8時だよ。部活帰りかよ。

彼に会う前に少しでもコンディション(?)を整えたくて、何日も絶食状態で情緒不安定だったってこともあってか、

8時って……8時ってさ……え、8時?

と電車の中で自問自答して、涙がつたってきて、電車を降りると顔が崩れて……どうしていつもこんな風になっちゃうんだろうって、もう笑ってしまった。

何にでも適量はあって、それは人それぞれ。 私は、唐揚げは中4〜5個、ハンバーグは握りこぶし大、デート終わりは23時頃……がいい。いや、翌朝でもいいよ。