大島智衣の「oh! しまった!!」

しまったあれこれ随想録

〈59〉千のオニパウになって

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ラーメンに粉末スープを溶いた途端、ウッとなった。

これはもしや……いや絶対、アレだよね……?

 

“野菜のおだし”の風味を生かしてます〜的な魚介しお味のインスタントラーメンを買ってきた。やさしそうなパッケージやネーミングの雰囲気に惹かれて。

 

それで、今晩はちゃちゃっと塩ラーメンだ! とふんふん作っていたら予想外の香りが鼻腔にインしてきてウッとなった。これはもしや……いや絶対、アレだよね……? たまねぎ!

 

……私は、たまねぎが食べられない。とろっとろに加熱され正体を失くしていればおいしくいただけるけど、〈生〜とろ手前〉だとニガくてクサくて胃が焼かれムカムカが止まらない。

 

このスープ……たまねぎ入ってるなぁ絶対。“野菜のおだし”の野菜って、たまねぎもかぁ。迂闊だったなぁ。チェックが甘かったぜぇ。

……そう、己の油断を悔いた。

 

パッケージをよく見たら、にんじんやらキャベツやら、かわいいイラストで描かれたいろんな野菜のなかに、堂々たまねぎもいた。見逃したーぁ!!

 

でもまさか。だって、こんなにたまねぎの匂いするラーメンのスープ初めてだよ。すごいな、さすがに“野菜のおだし”を謳っているだけある。

 

そして、袋ウラ面の原材料名もよく覗き込んでみると、そこにはなんと「オニオンパウダー」の文字。これか! と苦々しく思った。

 

というのは── 1年ほど前、スーパーで大好きなコロコロサイズのハッシュドポテトを見つけた私は、嬉々として購入した。そして、グリルでカリッと調理して口へ運んだ瞬間、ウッとなった。それが「オニオンパウダー」との出会いであった。オニオンパウダーなんて入れてくれんくてもいいのに。イモと塩だけでじゅうぶんやで。そう思った。

 

以来、どこかでハッシュドポテトを見つけても、オニオンパウダーが入っていないかチェックするようにはしていた。それなのに、まさかのラーメンスープにまでオニパウ(オニオンパウダーを略してみた)がインしているとは想像及ばず、苦々しかった。

 

ラーメンはなんとか食べきった。しかし残り4袋は、母にすすめておいた。

 

 

オニパウは目には見えない。

だからこそ油断してはならないのだ。どんなときにも。

 

コンビニのハムサンドに、オニオンスライスが入っていないかをチェックするのにはようやく慣れた。けれど、オニパウには警戒心まだまだだ。

 

オニオンめ……!

スライスだ、みじん切りだ、ざく切りだ、って変幻自在にインしてきやがる! まるごとの時だってあるじゃぁねぇかあ! あゝ恐ろしい! もう、

 

千の風にぃ〜

じゃなくて、

 

♪千の粉にぃ〜 千の粉になってぇ〜

 

だ。そう、オニオンはいつだって、私たちのそばにいる。時には千のパウダーになって。吹きわたっていますとも。眠ってなんかいません。

 

だからいま、高らかに、決意したい。

 

「オニオンパウダー」 に注意する!

 

それしかない。

 

 

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